水銀の落下
過去ログ #50-#99
#99
鈍感に見える人々の中で、少しだけ感傷的に生きているからって、それだけで何かが優れていたり、いい言葉が紡げるというわけでもないって分かっているはずなのに。落ち込んでばかりではいけないと分かっていながら、ずっとくよくよしている数日だ。友達から区切られるなんて何度も経験してきたことで、もうそんなことに感傷的になんてなれないとまで思っていたはずなのに、それでもこんなに凹んでしまうのは、きっと彼とだけは実際の接点なんて関係なしにインターネットでぼんやり繋がっていられると勝手に思い込んでいたからだろう。結局、なんとなく通じ合えたのかもしれないと思っても、言葉を連ねていくごとに呆れられる一方で、僕の前から人はどんどん離れていく。今までずっとその繰り返し。どうしてだろう置いていかないでくれって思うけど、その無自覚さこそが僕の加害性と独善性の証左なんだ。だから、きっと僕は一人にならなければならない。25まで生きようって目標はすぐそこで、30まで生きようって約束はなくなってしまって。鬱というには大仰でただ落ち込むばかりの生活と、死にたいというよりどうなってもいいやという怠慢な態度で、血液を不純物で濁して世界を曖昧にしている。口を噤んで生きていくべきだと分かっているのに、それでも何かを紡いでしまうのは、まだ全てを諦めることができないでいるからなのかも。僕は、僕が透明でいる時に、僕のことを覚えていてくれた人たちが大好きです。あの曲に書かれた、君の言葉が大好きです。もう約束はなくても、やっぱり20代が終わってから君と殴り合いたい。何になっていなくても、無名のままでも、ただ確かに二人とも生き延びているならそれでいい。断絶の後でも、こんな夢物語を綴るなんて、僕はなんてめでたい人間なんだろう。理由はわからないけれど、君は君なりに決着をつけなければいけない理由があったのだろうし、僕は一人で立ち上がらなきゃいけない。これから幸せになるとも、このまま幸せになるとも、愛されたいとも願わない。僕にそんな権利はないと分かっている。ただ、約束は果たされないと分かっていても、よほどのことが無い限り、僕はまだこの窮屈な世界で、誰よりくだらない自分をロールしていくよ。そして、もし消える時は、後は追わせてくれよ。
#98
だらだらと酒を飲んでぼーっとニューウェイブとか聞きながらベッドで幸福について考えています。本当にダサくて死んでくれって感じ。これがFAKE野郎のREALだ。楽曲配信系のサブスクは主にYoutubeプレミアムについてくるのを使っているんですが、本当に素晴らしいですね。僕はジャンルにこだわりとかある人間じゃないんで、ザッピングするみたいに適当にアルバムを聴き流してるんですが、こりゃ思っていたより充実している。Pyrolatorの「Wunderland」とかありますよ。これ、リンダキューブのフィールドBGMみたいでめっちゃ好きなんですよ。ニューウェイブの名盤的なのもかなり揃ってて、ハルメンズとか、ヒカシューとか楽しんでいます。20世紀末の未来観、レトロヒューチャーっていうんですかね? めっちゃ好きなんですよ。ハルメンズ「20世紀」のジャケット最高じゃないですか? 同時期の第三舞台(鴻上尚史)の演劇とかもかなり同色の雰囲気ですよね。まあ僕は演劇について全くの門外漢なのでテキトーしか語れませんが。そんで幸福、そう幸福について考えているってことなんですよ。SNSってかなり適性を試されていて、そうでなければ多大な疲労や不幸を背負うツールだと思ってるんですけど、今や誰もが誰かと繋がり続ける社会じゃないですか。SNS一個もやってない20代以下ってかなりレアケースじゃない? そんなかでは図らずも常に他人と比較する/されることを繰り返されて、自分が大体どの辺に位置している存在なのかって漠然と理解しちゃうんですよね。もちろんTLとかは自分で組むので、それを本当の社会全体像のミニチュアだと勘違いしちゃうと、その自己認識を錯覚しちゃうんですが。でも、その昔はどの学校にも、スマブラで「地元最強」のプレイヤーって絶対いたじゃないですか。ちっちゃい仲間内で無敗なのでもてはやされて、自分は才能に満ちているんだと錯覚するけど、中学とか高校とかに進学してあっけなく胃の中の蛙だって気づくみたいな。ああいう勘違いってもはや不可能というか。だってスマブラ興味ある子は絶対YouTubeで動画調べるでしょ。そしたら同い年くらいのはちゃめちゃに上手いプレイヤーとか、世界大会の動画とかいっぱい出てきて、そしたら自分がいかにレベルの低い場所で争っているかって気づくでしょ。そもそも今はオンラインプレイが標準であるから、嫌でもレートみたいな形でわかっちゃうのか。とにかく、今って、いともたやすく他者と自分を比較できてしまう世界だって思うんですね。それでも自分は自分なんだって健康的に過ごせる人間はいいんですけど、過度にナーバスになったり、嫉妬やアンチ的な活動に走ったりする人種も一定数出てくるわけじゃないですか。「学校であった怖い話」ってゲームに「幸せの石・ルーベライズ」って話があって。なんでも願う叶う石ルーベライズを手にした少女の話なんです。少女はルーベライズを使ってなんでも願いを叶えていく。お金、恋人、それでも彼女は決して満たされない。他人と比べて自分は不幸なんだという自己暗示が幸福を阻害していく。そして彼女は最後にルーベライズにこう願った。
「どうか、みんなを不幸にしてください」
だからこの話を信じれば、この世界はその少女によって全人類が不幸なんですよ。語り部の岩下明美はこうも語る。
もし、彼女の望みを断ち切るなら、ルーベライズを持っているどこかの誰かさんが、こういうしかないでしょうね。
「世界中のみんなを幸せにしてください」
でも、それって起こりえるかしら?
考えてみなさいよ。
とても普通では手に入らないようなルーベライズを持っている人たちが、みんなの幸せなんか願うかしらね。
彼女の言うとおりだ。人間はどうしても他者と比較してしまうので、妬み嫉みの感情があり、その限りは全員の幸福なんて。でもね、一方で僕の好きなSF作品に「路傍のピクニック(ストーカー)」って作品があって。これはタルコフスキー監督の映画化が有名なんですが、原作はもっとコテコテにSFっぽいんです。ちなみにタルコフスキーはノスタルジアのほうが好き。もっというとゲームのS.T.A.L.K.E.R.とか、裏世界ピクニックとかの元ネタですね。そんでこの小説には願望器っていうなんでも願いを叶えるマジックアイテム的なものがあって、最期は主人公がついに姿を現したそいつと相対するところで終わりを迎えるんですよ。そんでその願望器を前にして主人公は(途中でくたばったバディの言葉の引用なんですが)怨嗟のように怒りをこめてこう呟くんです。
すべてのものに幸福をわけてやるぞ、タダだ。だれも不幸なままで帰しゃしないぞ!
この主人公っつーのはかなり悲惨な人間で、そもそも彼の「ストーカー」という生業自体が危険を伴うアウトロー的職業。友人を失ったり、同業者にいいように使われたり、とにかく散々な半生を経て、最期の最期に呪いのように幸福を祈るんです。これがすごく印象に残っている。僕だっていつも優れている他者と自分を比較してくよくよしてるけど、それでもね、ルーベライズを、願望器を、握って叫んでやるよ。僕自身も、僕が好きな人たちも、僕が勝手に苦手だと思ってる人、そして僕のことが嫌いな人も全員幸福になってくれってさ。強がりには違いないけど。誰も不幸なままで帰しゃしないぞ!
#97
そのぬくもりに用がある
#96
T2、Trainspotting2のことですが、いい作品ですよね。
僕のオールタイムベストでもトップに入ります。何度見返しても「ここ好き! ここ好き!」と叫んでるうちに終わるので、実質「コマンドー」みたいなもんだ。
前作のTrainspottingも大好きなんですけど、流石にリアルタイムではないので、そこが悔やまれます。現実で青春時代にTrainspottingを観て興奮していた人たちこそ、リアルに20年を経て40代になった彼らの生き様を見て、回顧と新鮮を真に味わえる作品だと思うので。
でも、直撃世代からは外れている僕でも、T2が発表された時は「中学時代にあれだけハマった作品にまさか続編が!?」と興奮しながら劇場まで足を運んだものです。とはいえTrainspottingはカルト的に不動な人気を誇っている作品。そんな完璧な前作に続編なんて……と一抹の心配はありました。しかし見終わった後には、まさかの前作を超える最高傑作が爆誕していることに感動して、深夜の駐車場、車内で死ぬほど叫びまくりました。あー生きてて良かった。
細かい解説まではしませんが、とにかくT2は「20年という時間の重み」が全編通して描かれるんですよね。ノーフューチャーを絵に描いたような若者四人、いつでも四人一組、離れたくても結局は離れられない……という前作の関係から、20年を経て、主人公の決定的な裏切り、ドロップアウトしたまま冴えない毎日を送る仲間たち、昔を彷彿とするレコードは聴けなくなり、どうしてももう4人が集まることは困難で、それでも一堂に会してしまった末があのラストのシークエンス、というのが何よりも心に重くのしかかる。
それでもベグビーは息子との確執にある種の決着をつけるし、スパッドは新しい才能を見出して次の世代に伝えていくことを選び、そしてレントンとシックボーイはあれだけ牽制し続けてもなお同じソファで、恋人のように、兄弟のように、二人で語り合う。
前作Trainspottingで印象的なセリフに「仕方ないさ、友達なんだから」というのがあるんですが、T2は時間を経て変わったものばかりの世界の中の『唯一変わらないもの、変われないもの=友情』を描いた作品で、だからこそシックボーイとレントンの関係がすごく愛おしいものに映るんですよ。あんなにレントンを憎んでいたベグビーも、彼を殺そうと決意しながら、その決定的な瞬間にはとても優しく、切ない顔をする。結局、彼らは本質的に変わってなくて、目まぐるしい社会と老いの中で翻弄されてしまっただけなんです。
そもそもレントンは失意の中で帰郷しているんですよ。だから、「あの頃」を思い出させる故郷そのものが彼を何度も苛む。亡くなった母親が使っていたテーブル、何度も口にしたスローガン、そしてイギーポップのレコード……。感傷と郷愁と、もう戻れない過去への悔恨。
それでもレントンは過去の人間関係の中でのドタバタを通じて、少しだけ精神的に成長して、それがあの素晴らしいラストシーンなんですよ。彼が倒れずに踊り始めたとき、Trainspottingという作品は完全に終了して、彼の新しい人生がはじまったんです。それは物語じゃない。スパッドが綴るわけでもない。ただの日常、それこそ「Choose For Life」かもしれないけれど、誰でもないマーク・レントンの、彼自身の人生という物語だと思うんですよね。
ちなみにこの作品のテーマ曲ともいえる「Lust For Life」は、僕の中では『らくえん ~あいかわらずなぼく。の場合~』の名曲「Star boy Ether girl」と同じカテゴリに属してます。聞くと狂騒の毎日を錯視できる。
#95
期待していたら申し訳ないのですが、#100で消えたり、死んだり、そんなことはありません。なぜなら、現実はいつだって綺麗に終わってくれはしないからです。人間は誰しも、直前まで連続的な存在かのようにふるまい続け、そして唐突に暗転するのです。私も、あなたも。
#94
「はい、自分をじゃんけんの出目に例えたら『グー』だと思います。
なぜなら、私は一度も刃物に逃げたことがないからです」
#93
"俺は思うんだ、俺の頭の中みたいな映画を誰か作らないかなあっていつも思うんだ。"
限りなく透明に近いブルー/村上龍
#92
Supreme店員モノマネの人の動画見てたら、逆に購買意欲がそそられて久々にsup買いました。ストリートっぽい服買うの卒業しようと思って、大量のスニーカーも全部売ったりしている最中だったのに……。まあ、ちょうどリー・バウリーのコラボ気になってたので良いか。というか出張ついでに福岡のsupで買ったら店員めっちゃ優しくて笑いました。あの高圧的な接客文化は都内だけなのか? 全ては裏原全盛期の界隈の殿様商売が原因説を唱えてますが、ただの想像なのでリアルタイムでファッショニスタだった方々の意見を聞きたいですね。僕は今でも窪塚洋介が一番好きな俳優です。
ちなみに僕が初めてsupの店舗行ったのは原宿だったんですが、確かfucking awesomeのスタンスミスコラボを買いに行ったときに、並び場所ミスって誘導された結果でした。セキュリティが怖すぎて「これ、何の並びっすか?」とか聞けなかった。スタンスミスじゃねえ! って気づいたのは、2時間経って店舗の目の前にたどり着いた瞬間でした。スタンスミスは買えなかったけど、Rita Ackermannってアーティストとのコラボの、血塗れの女を背負っているメンヘラみたいなジャケットを買えました。電気サーカス味があって気に入っていて、今でも手放していないです。
追記 sup店員モノマネの人(おミュータンツ・宮戸フィルム)、映画紹介動画も面白いです。
#91
三体 2巻、めっちゃ楽しみなんですが、そもそも1巻の内容結構忘れているので、今のうちに読み返したいですね。
ちなみに去年中国行った時に、現地の人に「三体めっちゃ面白いっすね!」って話しかけたら、こいつ今更なにを言い出しているんだ? という顔をされました。そりゃ現地では2006年の作品なので、あちらの感覚的には今更ハリーポッターの話をし始めた人みたいなもんですからね……。
#90
自分の無価値さと加害性に嫌気がさして、ひたすら唸ることしかできない日々です。
これは僕の知見なんですが、なにかと自責するタイプの人間は、他責しがちな人間と一緒にいると 気づかない内に精神を消耗しているので、相性が悪いです。 かといって自責するタイプ同士でつるんでいると、お互いが卑屈すぎてバッドコミュニケーションで 大抵うまくいかないです。
じゃあどうするかっていうと、洞穴に潜んで黙って死ぬまでの時間を数えてろってことですね。
僕もここで唸ってます。うー。
それはそれとして、最近はずっと酒飲んでブラッドボーンをしています。 お酒大好き! ってタイプではないんですけど、それなりに酔っていると少し気持ちが楽になる気がして 毎日ちょっと気分がふらふらする程度に濃くしたホッピーをジョッキで飲み干しています。 こういう目的のない惰性の飲酒習慣はアルコール中毒への直通コースなので、本当にやめた方がいい。 でも夜はアルコールがないと気分的に落ち着かないし、そもそも食欲もないんですよね。 ホッピーがあってようやくご飯を食べる気になるというか。 精神的には完全に依存しちゃってる気もします。でも吾妻ひでおの漫画を参照するまでもなくアル中は考えうる限り最悪の顛末の一つなので、どうにか立ち直りたいですね。とりあえずアルコール類を冷蔵庫・冷凍庫から撤廃して、購入を控える方向にしたいです。飯はしらん。痩せるなら痩せろ。倒れるなら倒れろ。こっちはとっくに覚悟できてんだ。
それでブラボですよ。いやー本当に楽しい。睡眠時間を削ってプレイしています。ここ数日、仕事している時間以外はほとんどブラボ。というか、我慢できなくなってテレワーク中に経験値稼ぎしたりする始末。謎の中毒性がフロムゲーにはある。 元々、数年前に一度だけブラボ触ったことあって、そのときは難易度の高さと他ゲーの優先度に負けて、すぐに積んでしまったんですよね。で、思い立って数年越し触ってみたら、歯車が全て噛み合ったように加速を始めました。最初のボスからずっと夢中。 フロムゲーでいうと、ダクソ1をクリアしたことがあるくらいで、ほぼにわかです。ダクソも思えばひたすらクリアまでほぼノンストップでプレイしつづけたな。難易度は確かに高いんですが、決して理不尽すぎるわけではないんですよね。いや、ダクソは結構理不尽なところがあった気がしますが、ブラボは本当に完成されている。自分以外にはキレるところがない。 敵の配置も「開発者、マジで性格悪いなー!」って感じで笑ってしまうんですけど、ちゃんと対処方法も考えられているんですよ。しかるべき対応をすれば、必ず突破できるようにハードルが設置されている。もはやちょっとした芸術ですね。
僕は決してアクションがうまいタイプではないんですが、それでも聖職者の獣と血に乾いた獣くらいしか苦戦してないかな? ガスコインは思ったより簡単に突破出来て、あとは黒獣パール以外はほとんど初見クリアな気もします。まだアメンドーズあたりなので中盤なんでしょうけれども。ビルドは上質で、武器はルドウィークの聖剣。多分、王道。 ブラボ、本当にやればやるほどよくできていて、何よりも好きなのがそのテンポ感と気持ちよさ。ダクソって盾のせいで「ひたすら敵の攻撃をガードして、隙が出たらつつく」を繰り返す展開が多くて、トライ&エラーが若干億劫というデメリットがあったんですよね。でも、ブラボには盾のような安牌がなく、ダメージを食らうリスクが常に存在する。だからこそダクソより「パリィ」を狙う行動に価値が高くついて、その結果戦いのテンポが上がっているんです。さらに「リゲイン」という攻撃すればするほど回復する仕様が絶妙で、ダメージを受けやすいからこそ、こちらも攻撃が激しくなるという。まさに互いに斬りつけ合うような血みどろの戦いが発生するわけです。特にボスなんかは、基本的に守りに入ったらすぐ負けるので、とにかく攻撃を恐れずに密着して殴り続けるという解になる。これは本当に気持ちがいい。最初のボス「聖職者の獣」はこれをいかに早く理解できるかで、突破できるか否かが決定する良ボスだと思います。僕は一時間くらいかかった。
問題なのは明日から都合で2日ほど博多に出るので、ブラボが出来ないことなんですよ。考えただけで気が狂いそう。早く帰ってきて続きをプレイしたいです。
……アルコールよりブラボに依存してる気がするな。
#89
今、最も読まれるべき漫画を発表……
⇒「あゝ我らがミャオ将軍」
#88
アートスピーゲルマンの傑作コミック「マウス」に完全版が出たようですね。オルタナコミックの金字塔、というか象徴的作品だと思うのですが、ここ数年はどうも入手困難が続いていて、僕も一年ほど前に若干プレ値がついた状態で入手していたり。2巻に分冊されていたのが1冊にまとめられていて、手に取りやすさがグッと上がったのでこれを機に呼んでみてはいかがでしょうか。
肝心の内容ですが、ユダヤ系の血筋を持つ著者(スピーゲルマン)が、WW2中にナチスによってアウシュビッツ送りにされた経験を持つ父親に、当時の体験を聞いていく……というもの。本編の殆どは父親の回想で占められていますが、その合間合間には父と子の間の確執や介護問題なども挿入され、単純なナチスドキュメンタリーに収まっていません。
特に印象的なのは、ナチスによる激しい人種差別を受けてきた父親が、黒人を「泥棒の人種」と毛嫌いするように差別していることですね。このような主題を持ちながら、作者は自分の父親を、決して「可哀想な無実の民」として描いていないんですよ。単純な善悪・加害者被害者のような二元論には落とし込めない人間の多面性を見事に暴いています。
また、ホロコーストを目前にした壮絶な経験を経て、ようやく終戦で再開した二人(父母)にもかかわらず、結局母の方は日常の果てで鬱になり遺書もなく縊って自死してしまう。どれほど大きな困難を乗り越えたとて、“どっとはらい“で終わる物語のように綺麗なエンディングが待っているとは限らないという残酷さ。「西暦2236年」かよ。
言い忘れていましたが、この作品の最大の特徴は鳥獣戯画的な表現、つまりは人間(人種)を動物として描いていることですね。作中、ナチス・ドイツが猫、ユダヤ人がネズミとして描かれ、反ユダヤ政策を「ねずみ取り」のように描写しています。
この手の表現の作品というと、いまや「ズートピア」が最も著名な例として話題に挙げられがちと思いますが、それ以外でもアニメ化が記憶に新しい「ビースターズ」、OVAも出ている「キャットシットワン」、バンドデシネの「ブラックサッド」シリーズも同様の技法ですね。特にブラックサッドの2巻目(極北の国)はKKKのような白人至上主義(作中では白”毛“ですが)団体が事件の主軸に据えられており、かなりマウスに近い表現を随所に感じます。こちらも毎巻ハードボイルドで上質なミステリが展開される優れたシリーズなので、一読をお勧めします。
話題がそれましたが、マウスはとにかく傑作コミックだと思うので、新訳での完全版発行は嬉しいことこの上ないです。この勢いで他のスピーゲルマン作品や、オルタナコミックも刊行してほしいなあ。
#87
一番好きなマジカルラブリーの掴み
⇒「村上です」「その残像です」
#86
脳が淀むと、とうとうと思考が流れていく。ベッドに沈んでいる間、瞼の裏にとりとめもない風景が映る。血が濁っている時に、音楽や映像はどれも心地よいものだけど、文章となるとこれが難しい。メモリが下がっているせいか、小賢しい表現は気持ちよく僕の中に流入してこない。スペック不足かもしれないけれど。結局、僕の最適解は山頭火だった。
ともかくも生かされてはゐる雑草の中
全編を通してひたすらな希死念慮と諦念、それでも自分を囲う自然環境の力強さが絶えず繰り返されていく。排他、孤独、放浪、無音の叫びと、一匹の赤裸々な生涯が綴られていく。さまよい続けながら、これだけの句を残し続けた心象風景は、一体。
僕は酔うといつも愛と創作について考える。ほとんどは感傷だ。感傷なんて、自己欺瞞だ。エゴでしかない。勝手に寂しがっているだけ。一人で救われたり、絶望したり、おめでたいことだと思うが、きっと残りの人生もその繰り返しなんだろう。「創作活動の終り」なんて一例一例に憂いていたら、キリがないはずなんだけれど、それでも僕は、離れていった彼/彼女らを想わずにはいられない。例え大勢の中の一粒であれ、近づけば近づいていくほどに、誰でもない、等身大の人間一人なのだから。創作活動を通してでしか繋がれない誰かと僕ら。なのだから、その活動の終りは、やっぱり死を意識させられる。ここにきて、マーロウの言葉が真実味を帯びる。
さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ
推しは推せるときに推せ、なんて言うけれど、僕は彼/彼女らが去って行っても、変わらず愛し続けたい。そういう意味では、そこに創作があって良かった。どんな形であれ、その軌跡は確かなのだから。いつまでか分からずに続くグッドバイ。僕の愛の形は不明瞭で、いつでも直接的なアプローチを避けてしまう。後悔は先に立たず。でも、僕にとって、愛はいつだって無償の奉仕者であることなんだ。だから、愛を尊びながら、恋愛という相互システムが苦手なのかもしれない。それでもね、僕は無音の告白を続けるよ。創作者を肯定したい。そんな気持ちでいつもいます。君も元気でやっているといい。ボトルレターを流すよ、水平線のかなたを、鳥の音に感じながら。
#85
嵐で見えやしねえ
#84
ガルパン放映当時、同人誌として「学園ソドム」を元ネタにした『学園艦ソド子』ってタイトルの本が出るだろうと予想していたのに、実際に出たのは「はっちゃけあやよさん」ならぬ『はっちゃけ絹代さん』だった。
……ニアミスでは?
#83
好きな東方の曲は「幽霊楽団 ~ Phantom Ensemble」、好きなキャラは「稗田阿求」
#82
今晩は星流れの夜、投げられた焔の放物線、割れた街灯が星座、怒号はかくも艶やかに。
#81
様子を見ましょう、死が訪れるまで
#80
死ね! 死ね!! 死ねよ! 死んでくれ! 死ね!! 死んでください!!! 死にましょう!! 死ね! 死ね! 俺も死ね!!! 俺こそ死ね!!! お前も死ね!!! 死ね!! 死のう!! 死ねって!!!
#79
どうにもならない今日はせめて、笑い話にかえられますように
#78
不眠が再発して酷くなってきたので、西川エアー01を買いました。簡単に言うと質のいいマットレスです。
最近は前より生活に投資するようになりました。明瞭に言い変えると「付き合う時間が長いものに優先的にお金を使う」ということです。
僕はずっと破滅的な生活をしていて、とにかく衝動によってあれこれ買いこみ、物欲を満たすことだけを目的に生きていたんですが、色々考えが変化して、最近は物を積極的に減らして質のいいものだけ買うようになりました。それでもミニマリストというほど物を所有していないわけではないですけどね。
元々、人より大量にいらんものを所持していたので、大掛かりな断捨離を経てようやく人並みの生活になってきたという感じです。
ということでこれを機に、ここ最近購入して正解だったもの(購入金額より価値があると思ったもの)を列挙しようと思います。ムカつくハテナの記事みてえな。丁寧な生活、クソ喰らえって気持ちは分かるんですが、ノーフューチャーを気取るほど、若さも度量もなくなってしまったのです。
挙げる品は、目安としてここ半年程度で買ったものですね。電子書籍リーダーとかプロテインとか、僕の生活にはかなり寄与しているけど、大昔に導入してるので省きました。では、どうぞ。
・Air Pods Pro
高えよって思いますよね。僕も思ってます。でもまあAir Podsのノイキャン関係の利便性を覚えてしまうと、もう他のイヤホンには戻れないですね。ましてや有線は論外。豊かな生活に近づくためには配線は積極的に排除していくべき。「未来世紀ブラジル」でお前は何を学んだんだ? ケースにしまった時の充電も爆速でビビる。
・Youtubeプレミアム
「付き合う時間が長いものに投資する」というのであれば、最も金をかけるべきはやはりYoutubeしかない(僕の生活の場合)。Youtubeの広告ってハチャメチャにイライラしませんか? 他のサービスの比にならないくらい醜悪なCMが目に飛び込んできて、とんでもなく心かき乱されるんですよね。その昔、「うざすぎる広告」という代名詞でtiktokが揶揄されてましたが、真にうざすぎる広告はあべ〇ょうのしょうもない歌だろって一人でキレてました。それはそれとして、広告がなければそれだけ時間的にも手間的にもストレスフリーになるわけだし、なによりもバックグラウンド再生はもはや必須機能。
・iPad
たかがでけえスマホだろ! と思ってた時期もありましたが、冷静に考えたらでけえスマホは必要なんだよな。主に動画鑑賞・漫画と雑誌のリーダー・物書き作業で使ってます。元々ノマドで物書きするのに1.2kgぐらいのノートPCを持ち歩いていたんですが、体重が減って筋力が消え去ったことによってわずか数十gでも持ち物を軽くしたいという欲求で、ライティングデバイスとして乗り換えを決意したんですよね。使ってみれば普通に便利。家の中でも気軽に持ち歩けるサイズ感がいい。雑誌を読むことへのハードルも下がった。
若干気になるのは、SNSやらブログやらブラウジング時の微妙な使い勝手の悪さ。これに関しては家にいる限りはパソコンのほうが圧倒的に楽だし、外だとスマホの取り回しの方がいい。意外とネットを泳ぎ回るには中途半端なデバイスです。
・トラックボールマウス
エレ〇ムのはひっかかりが多すぎて、我慢が出来ず窓から投げ捨てました。値段が張ってもロジクールの青玉にしましょう。
・空気清浄機
空気は綺麗な方が良い。というか加湿機能が重要ですね。
・サロン系のシャンプー・リンス
僕はくせ毛なので、縮毛矯正したりアイロンしたり、最近はまたカラーかけてたり、スーパーダメージ毛なんですが、ミルボンの洗い流さないトリートメントをつけてかなり髪質が改善しました。それに気を良くして、シャンプー・リンスをケチってパン〇ーンにしたら一瞬でラスゴがスペルされた(MtG)。コスパもいいのでCMCシャンプーってサロン系のを使ったらまた指通りが良くなりました。めでたしめでたし。
・バックパック
断捨離にあたってバッグ類も燃やし尽くしたので、一つぐらい使い勝手のいいものを持っておきたいと思い、色々探しました。もともとウエストバッグをよく使ってたんですが、iPadも導入したのでやはりここはバックパックで。黒色で余計な飾りがなく、サイズもそれほど大きくないもの。候補は大量にあったんですが、結局選んだのはコムデギャルソン・オムプリュスの定番モデルでした。CDGにしては値段も安くてコスパもいいし、形もシンプルで主張が少ないながら、遠目にもそれとわかる丸っこいかわいらしさが気に入りました。とはいえ万超えなので、普通にこだわりがないなら無印のバックパック(3000円くらい)がおすすめです。見た目からしてほとんどコムデギャルソンなので。
・サンダル
夏なので調達。出勤でも履きたかったので、かかとがあるタイプを探しました(実験室ルールがあるのよ)。結論はホカ・オネオネのHOPARA。ダッドシューズもそろそろオワコンになりつつある気がするし、ホカもなんか今更感あるんですが、一度はその履き心地を体感したかったので。武骨なデザインも気に入っているし、街路を歩き回るときのクッション感も素晴らしいです。ただ僕が若干偏平足なのもあって、慣れるまで土踏まずが痛くなったり。もう慣れましたが。
・ユニクロUのスウェット
テレワーク期間に何も考えず着まわせるワークウェアとして数着を導入。スウェットといえばやはりチャンピオンのリバースウィーブですが、流石ユニクロU、手持ちの物と並べて比較してもまったく謙遜のないほどの出来です。何より安い(4000円)。部屋着にしても楽だし、そのまま外に出ても問題ないので、スウェットシャツはストレスフリーで素晴らしい。でも最近暑くなってきて、そろそろシーズンオフですね。
・マルちゃん製麺 カップ焼きそば
アンチUFO、ペヤング原理主義だった私ですが、突如現れたモノリスによってレボリューションを遂げました。さすがマルちゃん製麺、とにかく麺が美味い。そりゃ焼きそばなんて構成要素ほぼすべて麺なんだから、麺が美味いっつーことはイコール製品の完成度なんだよな。直近、やる気のない時の飯は全てこれです。
【番外・病院編】
一言でまとめると、異常があればとっとと病院行け。
・歯医者
不眠への影響を鑑みて、コーヒーは一日一杯に規制している私ですが、紅茶はひっきりなしに飲んでます。おまけに煙草も吸う。そうなると歯磨きしていても茶こしやらヤニやらで歯がくすんできてしまうんですよね。研磨剤が多い歯磨き粉を使ったりしてましたが、素直に歯医者に相談したら、速攻で削って真っ白にしてもらいました。かなり安い金額で。さっさと通えばよかった。ついでに残ってた親知らずも全部引っこ抜かれました。そっちは異様に高かった。くそう。
・花粉症
毎年毎年、3~4月になると鼻や目が崩壊するにもかかわらず、頑なに認知してなかったんですが、ついに屈して内科で相談しました。アレグラっぽい処方薬と目薬をもらったら、全てが解決した。余計なプライドは捨てて、デウスエクスマキナに頼れ。
・ストラテラ
効いてるのかかなり疑問視だったんですが、80mg/日を超えてからは明らかに読書量が増えました。集中出来る時間が伸びているのかもしれません。会社でも多動する回数がちょっと減った気もします。コンサータ処方する院に変えるか悩んでましたが、まあもう少し量を増やしつつ様子をみたいと思います。
ちなみにスマートドラッグと呼ばれるものも一応漁った時期があるんですが、明確にキマった実感があるのはほとんどありませんでした。某書物で書かれていたグレープフルーツジュース+DMAE+粉飴は効果があったような気もしましたが、気分の問題な気もする。その程度。なんだかんだカフェイン+糖分(つまりエナドリ)は信頼できますね。僕は鋭角で効き目が落ちていく感覚が嫌いで全然飲みませんが。
以上です。給付金も出たし、贅沢をする人もいるのではないでしょうか。参考になれば幸いです。僕はとりあえずマットレスと、マーチンの8ホールを買いました。あとはカリモク60のロビーチェアでも買う予定。
果たしてマットレスは払った額より価値があるのか。これから第一睡をしていきたいと思います。グッナイ。
#77
中学の頃、数学の時間に隣のギャルが腕に彼氏の名前をカッターでガリガリ彫っているのを見て、愛は素敵だなと切に感じたんですよね。
#76
チェンソーマン7巻面白すぎて頭狂った。
#75
僕が一番好きなBLEACHポエムを発表……。
俺達は虫
不揮発性の
悪意の下で
這い回る蠕虫
首をもたげる
月より高く
憐れなお前等が
見えなくなるまで
#74
CBDの結晶がきたので接種してたのですが、普通に効き目が感じられない。90%のテルペソレートなので、摂取量不足というわけではなさそうなんですが。とりあえずガラスパイプで吸ってみて、フィルター通したらまったくキックが感じられなかったので、外して直吸いしたら辛すぎて死ぬほどむせた。
とにかくちょっとずつ煙を吸い続けたけど、特に倦怠的な実感はないですね。もったいないのを我慢して舌に直接乗せて経口摂取もしたんだけど……一時間くらいは様子見てみようかな。残るは鼻から粘膜接種しか考えられないよ。それかクッキーにでも大量に混ぜ込もうか。まあ期待しすぎというか、向精神薬の効き目と比べようとしているのが良くない気もしますが。こういうのは、なんとなく効いた気がしたら勝ちなのかもしれません。
最近ブレインハック的な話ばっかで阿呆みたいですね。コンテンツの話を少ししておくと、直近では「深夜プラスワン」を読みました。冒険小説の古典であり、全体的なテイストはハードボイルドながら、殺し屋にランキングがあったり、銃や車の名前があれこれ出てきたり、「オ、オタク~~」って喜んでしまう小説でした。新訳で読んだけど、べらぼうに読みやすくてほぼラノベですね。
殺し屋にランクがあるという世界で思い出すのはやはり「ヴォイニッチホテル」ですが、まあここは直接的な影響下にある宍戸錠主演の1967年映画「殺しの烙印」を挙げるべきでしょう。といっても僕が見たのは数年前なのでかなりうろ覚えですが、とにかくねじ込まれるように、炊きたてのご飯が詰まった炊飯器が登場してた記憶が強いです。後で知ったのですが、あれは俗にいうプロダクトプレイスメントで、当時のガス式炊飯器のタイアップだったらしいですね。しかし主人公の殺し屋が、炊き立ての米の匂いを嗅ぐのが癖とかいうぶっ飛んだ設定でスポンサードの制約を解決する力技には恐れ入りました。あのシーンだけ異様に浮いてるもんな。あとは終盤に出てくる殺し屋ナンバー1のプロ意識が高すぎるが故に、小便をトイレでしないでそのまま垂れ流して隙を消すという描写をぶっこんでたり、なぜか最終決戦がボクシングジムだったり、とにかく異質すぎる邦画でした。
鈴木清順監督作品は他に「ツィゴイネルワイゼン」を観ましたが、こっちもこっちで別ベクトルに狂気の作品でしたね。あの幻想のような独特な世界観は大好物です。「陽炎座」と「けんかえれじい」もそのうち観たいな。
これを書きながら時間が経ちましたが、やっぱり効き目は感じない。もっと不眠が酷い平日の夜とかにまた試してみようかしら。
#73
オンラインであろうとオフラインであろうと、人間が人間と関わり、何か物語性のある活動を続けていくということは
常に一種の喜劇性を帯びており、その人間関係が繰り広げられるのが配信サイトであり、投資が可能であるプラットフォームであるというだけで
簡単にテレビショーだの切り売りだの、外野が強い言葉で簡単に批判することがナンセンスだと思いますけどね。
ドラマを作るために集まっているのではなく、楽しいこと、好きな人々と近くにいようとすること、その自然さの積み重ねがドラマになっていくのだから。
「人生はお祭りだ。一緒に過ごそう」ですよ。
#72
クズではないことを証明するために、せめて創作に取り組んでいようと思っていても、
現実にはクロチアゼパムを多めに接種してへらへらベッドに沈みこんでいるうちに気を失っていた朝、自分を内側から抉って殺してやりたくなる。
#71
レキソタンをジョニ黒で流し込む水曜日!
週の真ん中ですね。頭の中がうるさくなってまいりました。というかもうレキソタン、もう1シートしかないじゃん! あとはジプレキサも1シートくらい、リーゼがちょっと? ストックがなさすぎる。マジで終わってんな。これが人間の暮らしかよ。もうしばらく心療内科ではストラテラしかもらってないから仕方がない。ちなみに睡眠薬の方もベルソムラもマイスリーも尽きちゃって、終いにはルネスタまで切れそうでヤバ。ブロチゾラムは大量にあるんですが、なんか好きじゃないんですよ。超短期系じゃないとなんか次の日もダルくなったりしてめんどくさいんですよね。そういえばクラックパイプを買いました。それでも吸うのはCBDなんて甘ったれたシロモノでしかないわけで。とりあえずテルペソレート? ワックスってやつですね。90%の1g買いましたけれども。なんかあんまり効くのか半身半疑ですね。まあ物は試しということで。自分、ストレスを外力で消し飛ばしたいって気持ちもあるんですけど、それよりなんか脳にぶっ刺さって効いてるって感じるのが好きなんですよね。普通に酒飲んで酩酊してるのもそういう意味で全然好き。僕だってね、こんな無味乾燥とした文章じゃなくて、ちゃんとコンテンツの話とかしたいですよ。というか結構下書きにはいろいろ溜まってるんですけど、なんというか、最近ずっと鬱屈としていてそんな気分じゃねーんですよ。でもいつだってヘラヘラとしていたい。実際、表に顔出してる間は他人にヘラヘラしてんだから、帰ってから自分のためにヘラヘラする時間があって、それを何か薬だとか酒だとか作用機序に頼ってもよくないですか? そういえばなんかこのテキスト、よくわかんないけど変なタイミングでアクセスが伸びるのなんなんですかね? 検索とかでも来てるらしいんですけど、何のワードでひっかかるのか恐ろしくて想像もしたくないよ。こんな場所に有意義な知見なんて一つも転がってないから、さっさと帰ったほうがいいですよ。そりゃね、僕がなよなよした泣き言を連ねているだけなんだから。さっさと死ね! それか口を噤んで働け! って思うかもしれんね。僕もよく思う。僕は誰よりも僕自身のことを憎んでいて、社会が嫌いで、それでもって世界に愛を感じているんだ。コンテンツを発信している人間や、夢に取り組んでいる人間を非難するような、狭い視野で勝手な定義を加えて他者を規定するような、くだらない長文が今日もインターネットに排出されているけれど、そして僕の言葉もきっとそれらと謙遜ないほどに醜悪なんだろうけど、それでも愛とか優しさとか信じてへらへら生きてるんで。そんでもって、僕と同じように、後ろ向きな本心を胸張って主張できずに、地下にこもって鉄格子をギイギイ揺すって、誰にも聞こえない音楽を奏でている君や君や君のことも、君が嫌いな君のことが、やっぱり愛せずにはいられないんだよ。少しずつ、アルコールと抗不安剤が背骨を漕いでいくね。今日の昼間に、相手が何を言っているか分からないまま適当に愛想笑いで頷いた言葉、みたいな曖昧さで意識がぼんやり透き通っていく、何を連ねているかも分からないままに響くキータイプの音、生気のなくなった痩せた腕に浮かぶ血管、耳にこびりついた甘き死よ、来たれの旋律、そろそろベッドにゆっくり溶けていく響く氷の寂しさを
#70
僕もパワーちゃんが一番好きです。
#69
スヴィドリガイロフの最期を想う度、胸が苦しくて仕方がない。
どうしても求めているものが、決して手に入らないものだと知った時、人はどうして生きていられるだろうか。
#68
恥を捨てて言えば、僕はどうやらこの「仕事」というものをこなすのが「上手い」らしい。非常に。昇給額も賞与額も、会社が決めた規則において理論上の最大額が出ているし、僕の周囲では前例がないレベルでの好成績を上長から認定されている。
別に境遇を自慢したいわけではない。大海は広い。同じサラリーマンに絞っても、僕が二、三ヶ月で稼ぐような金額を一月に稼いでいる同世代だって大勢いるだろう。ただ現実として、「社会」で会社員をロールプレイしている僕という人間が、帰属している組織において有能であると判定を受けている。そのことについて考えているのだ。
ここで誤っていけないのは、決してそのことが僕自身を秀でていると証明するわけではないということだ。事実、僕と同程度の階級にいる同僚や、同世代の新人を見渡していても、僕よりも技術や知識を備えている人間は多いし、会社に「敬虔」な人間ばかりだと思う。僕は業務内容に一切興味がなく不勉強で、会社への帰属意識も貢献意欲もなく、そもそも労働が嫌いで仕方がないので、誰よりも遅く出勤し、残業どころか、五分でも定時以降残るのが苦痛で、我先にと退社している。
業務だって別に大したことはしていないと思う。ある程度の知能レベルがあり、日常生活に支障がないレベルに電子機器が操作できれば、明日にでも僕の代替として十分に成果を発揮できるだろう。なんなら僕より成績を上げられるかもしれない。
そういうことなので、僕自身、自分は実力や実績が伴っていないまま過大評価を受けていると思うし、僕に能力があるとすれば、その錯覚を他者(上長や関係者)に与えることに優れているということになる。
故に、僕は評価を受ける度に強い虚無感を覚える。例えそれが会社に抗う形でも、強い感情が抱ければよかった。体制が気に入らないとか、不当評価だとか、別の業務への移籍を願っているとか。
でも、ネガティブな感情さえ僕にはない。
疲労するほどでもない簡単な作業を、右から左に処理して、適当なタイミングで報告を実施するだけの無感動な業務。パン工場のライン作業のほうがよほど生産的で特殊性が高いとさえ思う。ただただ、不安もなければ高揚もない、平坦な道を法定速度で直進し続けるだけかのような無生産な活動、それが日々の労働である。
それなのに、なぜか僕はやたらと周囲に持ち上げられ、まったく理解できないほどに褒めそやされて仕事をしている。
僕はただ周囲に流されるまま生きているだけなのに、なぜかサラリーマンとして理想的な路を順調に進んでいるのだ。そこには僕の意志さえ介在しないままに。
思えば、僕にはこの類の虚無感が人生に付きまとっていた。
高校進学も、大学進学も、振り返ってみれば決して熱心に活動していたとは思えない。それでも打算的に指さした方角が、将来的に「結果として正解だったね」と口々に言われるような選択肢であることを後で知る。
就職に至ってはほとんど廃棄するように行動していたにも関わらず、何の因果か就活をしている「フリ」をするために受けた一社に受かってしまい、なあなあで入社してみれば好待遇でホワイトな、いわゆる優良企業だった。それどころか唯一能動的にエントリーしようと考えていた(が、種々の都合でESを出せなかった)企業の方はひどいブラック体制であったことを、就活が終わった後に知った。
いつだって僕の進む道は小市民的な正解を選ぶように矯正されているように感じて仕方がない。
そして僕といえば、そのことにうんざりしながらも、その社会的に恵まれているとされる立場を捨て去ることも出来ずに、無い物ねだりをするように後ろを未練がましくちらちら振り返るだけ。だから大学の専攻も変えられず、就職を完全に放棄したり、興味だけでのエントリーをしたりもできず、そして辞職や転職さえできていないのだ。
いや、未来のことは分からない。もしかしたらこれから先、どこかで決定的に壊れてしまい、全てを失うことになり、こんなことはただの一時の錯視にすぎないと証明されるかもしれないのだから。
それならいい。でも今の予感としては、僕は結局最期まで「社会的な理性」に抗うことは出来ず、ただ耳をふさぐように、目を逸らすように、くだらない実績を積んで、そこそこの立ち位置のままに、溺れるように今の会社に身を埋めることになる気もしているのだ。
いつだかにも書いたけれど、僕には現状、何もない。
生きる目的も、大きな挑戦も、イデオロギーも物語も愛もない。
そして、よく勘違いされるけれど、小説家になりたいわけでもない。
過去、僕の作品のファンだと言ってくれた子に誘われて、食事を同席したことがある。
彼自身も創作文芸に努めていて、周囲にもそのように文章を書く知人が多いらしい。その場で聞かれた「なぜ新人賞に応募しないのか?」という問いに対して、「小説を職業にすることに一切の興味がないから」と答えたら、非常に驚かれたのを覚えている。
加えて、僕自身は自作を他者に推薦できるものだとは思わないし、宣伝することも苦手だと答えると、さらに不思議なものを見るようなまなざしを向けられた。
彼曰く、周囲の多くの創作文芸家は小説を書くことに生業とすることに憧れを持ち、そして大成することを願っていると。自身の作品にプライドを持ち、そして他人に読んでもらう努力を怠ることはないらしい。それは本当に立派なことだと思う。決してそのような立場を否定する気はないし、何にせよデビューする人たちは多かれ少なかれそのような自信や理想を抱いているのだから。全ての第一歩は願うことだ。
ただ、僕自身について言えば、それを願うような実力も適正も、そして意欲もないのである。
結局、僕の手のひらには何もなくて、願う事すら破棄していて、この平坦な地平でひたすらに狭心症の真似事をしながら社会的な「健常」に生きていくのがお似合いなのかもしれない。
#67
世界がつまらなくなったのか、僕がつまらなくなったのか、よく分からなくなる時があるが、
カフカは「お前と世界の戦争では、世界に加勢しろ」と言っていたし、
やっぱり僕がつまらなくなったんでしょうね。
#66
僕はいつだって容易く自分を否定してしまう癖に、他者が、特に僕が行為を抱いている人々が、
自己否定の末に自身を貶めているのを見るのがたまらなく辛いんだ。
「夜は自己嫌悪で忙しい」なんて、何度も引用されたフレーズだけれど。
やっぱりこの時間になる度に、窓から流れ込んでくる無色透明の気体が薄暗い部屋を充満して、
僕らを窒息させていくのを感じずにはいられない。
僕が倉橋ヨエコで一番好きな曲は「二番目の道」だ。
ほら1,2,3 ほら1,2,3 そうよ 二番目の道
「二番目」というフレーズは、彼女らしい諦念と妥協に彩られているように思える。
それでも僕という人生の中途に丁寧に分割された三差路があったとして、
歌詞の通りに1,2,3と数えていけば、二番目の道は胸を張って真っすぐに突き進んでいくことになるだろう。
なんて都合のいい解釈だろう! でも、不思議と底抜けに明るいメロディを聴いていれば
そんな情景を思い描いて、少しだけ上を向いてみてもいいんじゃないかと思えてくるんだ。
#65
体重計に乗ったら見たことのない数値になっていました。自粛期間にさらに痩せてたらしいですね。BMIでいうと17.3です。
ということで、食に対する興味を取り戻すため、自分の好きな食べ物を書きだしました。
前提として、僕はマジで好き嫌いがない人間なので、基本的な食材はほとんど美味しく食べることが出来ます。
なのであんまり特別な好物というものは少ないのですが、その中でも口にする機会があると明らかにテンションがあがるものを抜き出しました。
中華全般
イタリアン全般(特に薄めのピザ)
沖縄料理全般
スープカレー
ドライカレー
ビーフシチュー
たこ焼き(関西風)
角煮
蕎麦
ザーサイ
鶏釜飯
ビリヤニ
馬刺し
よく乾燥した生ハム(プロシュート)
紅ショウガの天ぷら
チミチャンガ
秋刀魚
牛タン
牛カツ
鍋物の白菜
とろろ麦ごはん
春巻き
チリビーンズ
はちみつ梅
【菓子類】
クリームブリュレ
ロシアンクッキー
ソフトクリーム
ウエハースチョコレート
トップスのチョコケーキ
グーテデロワのラスク
ハッカ味の飴
チェルシーのヨーグルト味
チョコミント味の全て
ビターチョコ(カカオ70%程度)
イチゴ味のチョコレート
コーヒービート
ハリボーグミ(ゴールドベア)
ドーナツ
キャロットケーキ
【飲料】
ルートビア
インカコーラ
ドクターペッパー
レゲエパンチ
ジントニック
ビール(ハイネケン、一番搾り、IPA)
コーン茶
【チェーン店】
サイゼリヤ/コーヒーゼリー・シナモンフォッカチオ・エスカルゴ
牛角/トントロ
ケンタッキー/ポテト
崎陽軒/シウマイ弁当
なか卯/親子丼
SHAKE SHACK/ピーナツバターシェイク
肉の万世/カツサンド
551/肉まん
もはや絨毯爆撃すぎて好物というリストの域を超えている気がします。
ちなみに、普段人に好きな食べ物を聞かれたときは「たこ焼き、薄いピザ、沖縄料理」と答えてます。実際、外で食べる機会も多いので。
あと変なものは基本的に食べたがります。虫類とかジビエとかは進んで食べに行く派閥です。経験値稼ぎみたいなものだ。
それと、チェーンじゃないお店の特定メニューでも特別好きなものもいくつかリスト化したんですが、
流石に莫大になりすぎるのですべての掲載は控えます。気分にもよるし。
2つだけピックアップすると、渋谷の「なかじま」の酢豚と、上野の「みはし」のあんみつはいつでも食べたいです。
アキバは良く訪れる関係上、好きなグルメが多いので、別の機会にまとめたいですね。
オススメの飲食店や食べ物があれば(都内近郊なら)どこでも駆けつけるので誘ってください。
相手が正体不明の人物でも、誘いは断らない人間です。
#64
夜、暗殺者の夜
#63
定期的に小説とか漫画とか映画とか10冊挙げるハッシュタグが盛り上がりますね。
僕も過去に何度か呟いた経験がある気がします。
ということで2020年の小説オールタイムベスト10を更新しようと考えたんですが、もう10冊も挙げられなくなっていました。
そういった試みに対して、自分の中で非常に抵抗感がある。これはもはや自分という人間が過去からの連続体ではないという認識を持ち始め、
そもそもオールタイムベストとか不可能でしょ、という諦念を抱き始めているからでしょうね。過去の感動は風化してしまうし。
とはいえ、なんとかこれは昔からあまり変動してないなという5冊を絞ったので、記しておきます。
月と六ペンス / サマセット・モーム
電気サーカス / 唐辺葉介
ライ麦畑でつかまえて / J・D・サリンジャー
ピンポン / パク・ミンギュ
羊をめぐる冒険 / 村上春樹
こんな感じですかね。
「羊をめぐる冒険」は「風の歌を聴け」に変わることもあります。残り5冊はその時の気分でミステリに偏ったり、SFに偏ったり、青春小説になったり、児童文学になったりします。ちなみにミステリだと横溝正史とか、J・D・カーの密室ものとか、ガストン・ルルーの「黄色い部屋の謎」とかが好きでした。SFだと「一九八四年」「星を継ぐもの」「ハローサマー、グッドバイ」が過去あげていたような。あと滝本竜彦とか田中ロミオのラノベとか、そういうのが入ったりしがちですね。書きながら思い出したんので、まっったく関係ない話をし始めると、元長柾木の「飛鳥井全死は間違えない」ってめっちゃ好きなんですけど、あんまり話聞かない気がしますね。そんな時代じゃないだけか。
最近はカミュとかドストとかあーいう周辺をずっと読み返してるので、そういう感じのがランクインしそうですね。
映画とか漫画とかはもっと揺らぎが少ない気がするのですが、疲れたのでいつか機会があったらにします。
#62
七夕の国、読み終わったんですけど非常に面白いですね。全四巻にまとまった伝奇ものですが、その物語背景は広大で、歴史ミステリでもあり、SFでもあり、そして大河物語の一部を切り抜いたかのようにも感じられます。
幸子さんは、僕の好きなヒロインの最小公約数的な存在で、アニメ的ヒロイン像を極限まで省略していくとこういうキャラになるな……と思ったり。
#61
ベルソムラは解雇した。今はルネスタ二錠。
ちなみにベルソムラの有名な副作用「悪夢」についてですが、自分は女体化する夢を見ました。悪夢っちゃ悪夢かもしれない。
#60
Apex、頑なに目を背けて生きてきたけど、いざ一度プレイしてみるとやっぱり楽しくて、ついつい遊んでしまうようになった。
#59
とある16歳の子がYoutubeの配信をしているのを観ていたのですが、本当に楽しそうで。
その子は自分で毎週動画も作って、サムネのイラストも描いて、Twitterで告知や交流までしていて、それがまったく苦痛そうではない。そりゃそうだ。きっと本人はそのどれもが義務や労働だなんて思っていなくて、ただひたすらに自分が楽しいから続けていられる。
もしかしたらチャンネル登録者数ですら、深刻には気にしていないかもしれない。たとえそれが10人でも、1000人でも、10万人でも、あの子はただ自分が面白いと思うために活動を続けられると思うんだ。
きっと、本当に努力が出来る人って言うのはああいう人で、その眩しさの前では、誰かが決めた「結果」なんて、数字なんて、無意味なんだと思う。
「ガンパレード・マーチ」のコミカライズ版で、印象的なセリフがあって。
過酷な訓練を受ける軍学校で、弱音を吐く学兵に教官が言った「努力が報われるのではなく、報われるために努力をするのです」というものです。これはかなり真だと思っていて、実際に努力をすれば必ず報われるなんて因果はどこにも存在しないのですよね。なので、誰もが根拠もなく努力をしている。
でも幼いころの僕はこれをかなり曲解していて、「全ての努力は報われるために行われる」=「結果が全てである」と短絡的に結び付けていたのです。これはかなり誤っていて、そもそも報われるなんてのは、自己完結した指標でしかなくて、結果なんていう相対的な判断に評価を委ねる必要なんてないと思うのです。
僕は絵も描けないし、動画も作れないし、文章だって上手いとは言えない。客観的に「何者でもない」大人になってしまった。
これは、僕という人間の、人生の、一つの「結果」だ。
そんな自覚を持っている24の僕が、自分の16を振り返ってしまえば、何の意味もない下らないことばかり繰り返していて、もっと身になるようなことを、8年間継続して一つのことに取り組んでおけば良かったとしか思えない、のだけれど。……だけれど16の僕ならば、そんなお節介をきっと全力で反発するだろう。
そして、もう思い出せないけれど、その当時の僕が夢中でやっていたアレコレは、通り過ぎてしまえば無意味に思えるけれど、取り組んでいる当人にとってはかけがえがなく、その瞬間しか出来ない取り組むべき事柄だったんだ。
きっとその努力も、まったくの無価値だなんて否定はできないはずなんだ。
僕はこのまま生きている限り、いつか32歳になる。その時、32歳の僕はきっと今の僕を否定するだろう。
今の僕が、16の僕を簡単に否定してしまえるように。
それでも、この瞬間を生きている僕は、僕なりに何かを選択して、せめて一歩でも前に進もうともがいている最中で、それが無駄なんて言わせないぞと強がっている。
8年後の僕が、16年後の僕が、今まさに死ぬ直前の僕が、きっと僕を否定している。
でも、そんなことに怯えながら、来るべき「結果」を憂いながらでは、足を踏み出すことなんかできない。
今の自分を規定するのは、やっぱりこの瞬間の僕でしかなくて。僕は、将来に中指を立てて、厚顔無恥で何かに取り組んでやろうと思ったりするのです。
たまにはちょっと前向きなことも書いてみようと思っただけ。
#58
モデウスちゃん派です。
#57
デレマス総選挙、ボイスアイドル一位は辻野あかりさんでしたね。
という出だしをしてみましたが、僕はデレマスも知らないし、辻野あかりさんに特別な想いがあるわけでもなく。まあタイムラインに流れてくる他界隈のニュースでしかないわけですが。
でも今回の発表は偶然にも僕の中ではタイムリーでして、というのもここ数日ずっと「カノンごのうた」を延々と聴き続けていたからなんですよね。
いや、なんで数か月前のMADブームの曲を……という感じなのですが、本当にたまたまYoutubeの自動再生に潜り込んできたからなんです。俗にいう「食べるんごのうたMAD」はほとんどリアルタイムでも追っていなかったのですが、このカノンごのうたは個人的に凄くツボでして、一度聴いてから耳から離れなくなってしまい、今日も仕事しながら無限に再生していたりしました。そのタイミングでこの発表、何か巡りあわせを感じずにはいられません。
まあ辻野あかりさんについて僕が知っていることは、歌詞中にある「実家がりんご農家」で「語尾がンゴ」なことだけなんですが……。
パッヘルベルのカノンが素晴らしい構成であることは説明不要だと思いますが、4パートの人工音声で奏でられる声楽的な構成は独特の味わいがありますし、そもそもAIきりたんの表現力ってこんなにポテンシャルがあるんだなあと技術の方への感動もあったり。
特に僕が気に入っているのは歌詞なんですよね。おねがいシンデレラのフレーズが取り入れられたり、MADとしてのいわゆるレギュレーション的な言い回しが採用されながら、全てが心地よく音ハメされている。特に「りんごアイドル辻野あかりは こえもないのにうたいつづける」というフレーズはなんだか架空の泣きゲーを想像して胸に来るほどに詩的なセンテンスだと思います。
総選挙で得票が得られていないアイドルにはCVが実装されず、それにも関わらずにゲーム中で歌唱をしている設定にされアイドルを続けているというメタ的な違和感や、人工音声で仮の声を与えられてMADとしてブームの中で歌唱動画を作り続けられる文脈を、うまく取り込んでいる深みのあるリリックですね。
と、ここまで考えて思い出したのは、某トークイベントでマシーナリーな人と、発達障害ライターの人と、某オタク(にゃ〇ら)のやり取りですね。内容はデレマスのアイドルが総選挙で勝たないと声帯が実装されないので、みんなで応援して声を与えてあげるんだ! というマシーナリーさんの主張に、〇〇玉氏が「なんか声帯がないヒロインにみんなで声を与えるって往年の泣きゲーみたいですね」と発言して、にゃ氏が「適当なこと言ってますけど、じゃあ声が出ない泣きゲーのヒロイン一人でも言えるんですか?」と突っ込んでたことですね。
まあ僕も迂闊に〇〇玉氏と同じ発想をしてしまったわけですが、それはそれとして、ヒロインの障害や不可能性みたいなところに救済に対する一種の義務感を感じるのは「泣きゲーっぽい」と形容したくなってしまうなあという気持ちはあります。まあデレマス総選挙は泣きゲーっていうか、「KEY THE METAL IDOL」な気もしますが。
カノンに歌詞をつけるという発想では、やはり最初に思い出すのは戸川純の「蛹化の女」ですね。あの歌詞も非情に情景的で大好きです。
飴色の背中に悲しみのくきがのびる
パンク版よりしっとりしたノーマルな方が好きです。
ちなみに戸川純といえば「さよならを教えて」「好き好き大好き」など曲名が(ニッチな)エロゲに引用されがちという局所的なあるあるが存在するのですが、実は「蛹化の女」も同名のアダルトゲームが作られていたりします。
HARDから1994年に販売されたオムニバス集「ハードスペシャルセレクション-塊-」の中の1作ですね。内容としてはほとんどCG集のような、立ち絵も会話もないサイレントな短編です。原画・CGはさよ教と同じく長岡建蔵氏です。
ちなみに同ブランドの有名作「はっちゃけあやよさん」の全作収録復刻版では、特典としてこの蛹化の女の移植版が付いてきました。しかも早期予約特典にはフロッピーディスク版まで。僕も予約していたので、FD版を持っているのですが、これを持っていてももはやドライブが手元にないので読み込みすらできないのですが……。デジタル版も併録されていたのでそちらで楽しみました。
辻野あかりさんの話から、全く関係ないマイナーエロゲの話になってしまいました。ここらへんで終わります。
ちなみに僕が一番好きな戸川純の曲は「母子受精」です。いや、ヤプーズだし、作詞も作曲も戸川純じゃなかったわ。歌詞集「疾風怒濤ときどき晴れ」は名著です。
幽遊白書の樹は何が好きだったのか気になりますね。
#56
ルネスタを初めて飲んでます。健忘症状が出やすいと聞いて、試しに血中濃度ピークの投与後1時間ぐらいを狙ってテキストを連ねている。明日にはここに書いたことも忘れるのかな。まあでも同じ超短期型のマイスリー飲んでても健忘っぽいのが出たことはないので、大したことないと思ってますが。そういえばこの前久しぶりに出社したんですけど、会社についた瞬間に一発で鬱になり、ブロマゼパムに逃げたんですけどよく見たらブロマゼパムじゃなくて、ブロチゾラム(レンドルミン)で、めちゃめちゃ眠くなっちゃってサボってトイレでぐーぐー寝てました。最悪すぎる誤飲。しかし薬の話でネタを稼ぐのも本当に品がない。しかしこうテキストを書いている最中にも口の中がどんどん苦くなってきて、マジでルネスタ飲むと苦味の副作用でるんだ~と感動しています。甘いもの食って相殺してえな。みんな好きなお菓子なんですか? 僕はコーヒービートなんですよ。知ってる? コーヒー味って何でも好きだな。サーティーワンでもよくジャモカアーモンドファッジ頼みますね。あとはラムレーズンかナッツトゥユー。そういえばこの前、とある人が熱烈に推していたのでバーガンディチェリーを食べましたが、激アマ~なのにチェリーの風味がしっかりあって結構ツボでした。季節限定が変わる前にもう一度食べたいな。少しずつクラクラ来て眠気が来たのが分かりますね。そういえばTwitterの方にトレンドっぽいネタに乗ってツイート流したら久々に数十くらいRTされてたんですけど、みんなbioとかにオタク宣言して、ちゃんとコンテンツの話してんねえ。えらすぎる。よくわからない自意識で、消費したコンテンツについて、リアルタイムで言及していくやつできなくなっちゃったから。なんだったら脱オタしたとまで思われてるかもしれない。一応、毎日本読んだりアニメみたり漫画読んだりゲームしたりしてるんですけどね。でも、それら全部を逐一報告みたいにSNSに書いたり、もうそんな元気なくなっちゃってるんだ。誰かと仲良くなりたいなとか思ったりもするけれど、Twitterみたいな場所に少し絶望しちゃってたりもするんだよね。今って500円とか1000円で普通の人なら一生分にちかい映画とか雑誌が読めちゃうじゃないですか。そんな世界で、いかに個人が活動をして、人々の可処分時間を奪えるかって、かなり難しいと思うんですよ。ましてや収益を出していくことなんてもっと。だから、理屈じゃなくて、もうそれを支えるのも個人個人の愛でしかないと思っているわけ。でもさ~~~、このインターネットとかいう空間は、そんな何人何十人の愛を、一人の悪意が簡単に覆しちゃったりするんですよね。今のネットって、本当に狂人ムーブを噛ます側にバランスが傾ていて、純粋な優しさとか愛とか、力が弱すぎないですか? 環境が悪意に偏りすぎている。どうにかナーフされて、愛みたいなものに全力でベット出来るようにならないかなって思ってます。なんか文字列がぐにゃってきた。つまりはさ、僕は昔から、ただ人間一人の可能性ってやつを信じたいって願って生きているんですよ。人間一人、力は弱いけれど、でもそいつの孤独な愛の叫びが、何か物事を決定的に救ったり、人を助けたり、できるはずなんだって。でも現実は誰かの足を引っ張ってアイデンティティを保つハイエナや、皆で石を投げて一番致命傷を作れたヤツが優秀みたいな遊びが流行っていて、いつもいつも絶望している。結局ここは誰も幸せになれやしない地平で、愛とやさしさのTwitter2はきっとやってこない。インターネットって多分どんどん悪くなっていくんだと思う。息苦しくて、弾圧の種に怯えながら、ぼんやりと生きていくしかない。それでも、やっぱり愛はしなないから。3丁目のタマってアニメでさ、OPに「愛は元気です」って曲があんのよ。谷村有美の。いい曲なんだわ。映画版のEDでもあったね。いやー、タマ好きなんだ。いい話ばっかりでさ。「まつりばやし」は有名だと思うけど、基本的にノラが出てくる話は外れなしですね。「ふたりのノラ」「猫ノ巣城」とか好きなエピソードでしたね。二期の曲もかなりいいんだけど、特にEDの「みつあみ引っ張って」ですよ。大学生の終りにあの歌詞を思い出して、モラトリアムとの決別を噛みしめたりしましたね。あと泉まくらの「卒業」ね。思考が明らかにおかしくなってますね。そろそろ寝れるかな。薬効が切れて中途覚醒しそうな気配しかないんだよな。まったく何を書いていたのか意味が分からない。ふらふらした脳で書いているとこうなります。薬もアルコールも、そんな中の世界は全て偽物さ。
ただ、僕は優しく生きたい。そして明日も、愛が元気でありますように。
#55
今更なんですけど、デストロ246読みました。いや~~~最高ですね。
ついつい夢中になって、いつのまにか全7巻ぶっ通しで読んでました。
一応、三すくみ的な組織対立とか、殺し屋として生きることの葛藤とか、復讐の成就とかあるけれど、基本的には「百合とドンパチ以外は、細えことはいいんだよ!」というパワースタイルが最高。男の命はコバエ以下のように粗末に葬られていくけれど、女子高生は絶対に死なないのが良い。絵面はめちゃめちゃ血生臭いのに、主要キャラの生死については全く危惧する必要がないという絶対的安心感ね。百合カップルは永遠(フォーエヴァー)を作品通して貫いているのマジでウケるな。
ちなみに僕が好きなキャラは893陣営の人達ですね。全員好きだけど、強いていえば梅花。抜けてるけど、憎めない可愛さがある。殺し屋じゃねえや。苺姫とかもいいですよね。殺し屋どもとは別の信念があって、非情のようでかなり人情深い。主要3陣営が最後までなんだかんだ仲良い感じで均衡してるのって、伊万里より苺の功績な気もします。それなのに本人は絶対に認めさそうな意地っ張りな感じも好き。
同作者のヨルムンガンドも読もうかな。
#55
前々から思ってたんですけど、木製玩具とか木製家具にありがちな「木の温かみ」みたいなキャッチコピー、
死姦してる時にサイコパスが言う「へへ、こいつまだ暖かいぜ……」と本質的に同じだと思うんですよね。
#54
今週は睡眠の調子が悪いです。ファイトクラブの不眠描写は真実味が凄すぎて毎回感心しますね。
不眠が酷くなってくると、世界が遠のいていく。
欲求は全て消えて、自身の生活も他人事のように錯覚していく。
深夜や明け方、自分が今起きているのか寝ているのかよく分からなくなっていく。
ふと数分意識が落ちて、目が覚めた時には、自分が先ほどまで何をして、今何時ごろなのかパニックになる。
そして、僕は僕でなくなっていく。
#53
連チャンパパ、人気ですね。
僕も全話読みました。ウシジマくんを彷彿とさせるほど借金関連ネタのバラエティが豊富で、四丁目の夕日のようにピタゴラスイッチ的な不幸劇、それなのに絵柄の和やかさと一貫したギャグテイストの絶妙なハーモニーによって、内容に対して読み味が異様に軽いので前者2作品のようなハードな悲劇作品は耐えられないという人にも勧められます。まあ行われていることは一級のクズ同士の応酬合戦なんですが。
個人的な話をすると、ギャンブルと借金にはやんわりと縁があったり。
というのも、僕の出自は田舎の成金でして、祖父が始めたとある会社が成功して一時期は結構な規模になっていたんですね。なので幼少期は結構立派な家に住み、平均的なワンルームより広い子供部屋を持ち、与えられた玩具も高級品……というようなボンボン生活を送っていたのですが、ほとんど物心がついてすぐに祖父の会社は破産。成金一家全員が自己破産か夜逃げ状態になり、父も実家と縁を切って別の土地で第二の人生を始めました。ということで僕個人は貧乏暮らしのほうが身についていたりします。
実家の破産の間接的な要因にもなっているんですが、そもそも僕の家系は致命的に金遣いが下手なんですよ。特に代々受け継がれている悪質なギャンブル癖があって、祖父もそれなりに賭け事をしていましたし、叔父はパチンコ・競馬中毒。父は基本的に真面目なのですが学生時代に一度痛い目を見ているらしく、意図的にギャンブルから距離を置いていました(偉い)。叔母もいるのですが、彼女はころころと旦那を変えて、子供を作っては相手に押し付けたりしていたらしいです。
登場人物クズばっか。
そんな家族と会社の経営を支えていたのが非情に勤勉だった祖母だったらしいのですが、残念ながら僕の生まれる以前に他界。それからは(我が父を除いて)各々借金をこさえたり、トラブルを頻発し、ついに会社の資金繰りが悪化し、倒産という流れです。父は家族の保証人になったりしていたせいで、巻き添えをくった一番の被害者ですね。まあそんな地獄を見ても腐らずにちゃんと再就職し、厳しい状況が続く時期もありましたがなんとか僕を成人まで育てあげたのは人間として賞賛に値する気がします。連チャンパパは見習ってほしい。素直に尊敬しております。
ちなみにそれはそれとして、父と僕は基本的に仲良くないです。ここらへんはバンドマン陽キャ(父)とキモオタ陰キャ(僕)という生まれ持っての気質の問題があるので、一生分かりあえないだろうな。哀しい……。
破滅的な家系において最もクズだったのが叔父で、彼は一応祖父の会社に勤めていたのですが、ほとんどギャンブルやどっかに作った女のところで時間を潰していてほとんど働かず、お金が無くなるとふらりと現れて会社の金をせびっていくという最悪の人間でした。
彼に関することで思い出せる僅かな記憶は、僕がまだ保育園の頃。確か両親ともに働きに出ていて、家で一人だった僕のもとに唐突に上がり込んできたのです(当時は祖父とも暮らしていて、家の一部が事務所もかねていたので会社の合鍵で入れる)。まあ一応血が繋がりもあるので、特に警戒せず、軽く会話をした後に一緒にソファでテレビを見ることに。番組では北海道グルメの紹介をしていたんですが、それを観ていた叔父が僕に向かって前触れもなく「なあ、北海道いきたいか?」と聞いてきたんです。僕はそもそも北海道という場所がどこにあるか分からなかったんですが、どこか楽しい場所に連れて行ってくれるらしいのでとりあえず頷くしかない。それを確認するとすぐに席を立って、僕を外に止めていた車の助手席に座らせ、そこで待っていろと指示されました。随分待たされたのですが、一向に叔父は来ず、トイレに行きたくなって家に戻ると、たまたま家に帰っていた母に出くわしました。
僕が、叔父がどこかに連れて行ってくれるらしいと母に伝えると、母は血相を変えて慌て出し、僕を父のいる別の視点の事務所に預け、どこかに電話をかけ始めたのを覚えています。
結局、僕は父の仕事が終わるまで事務所にいることになったので、車の方に叔父が戻ってきたのか等わからなかったんですが、その後すぐに叔父はまた姿を消しました。
かなりぼんやりとした記憶で、母にもその時のことをいまだに聞けずにいるのですが、僕がそのまま車に素直に待機していたら、叔父はどこに連れていく予定だったのでしょう。まさか夜遅くに本当に関東から北海道へ無断で連れていくとは思えないので、真相を知るのが非常に怖いのですが。
まあそんな僕ももちろんクズの血を引いているわけで、やはり金銭感覚は昔っからバグっていると指摘されがちです。基本的にお金が入るとその分を使い切ってしまう。
更にギャンブルも大好きです。賭け事をすると、全身の細胞が昂るのを感じる。学生時代には一瞬だけパチンコをしたんですが、最悪なことにビギナーズラックで大勝ちしちゃったんですよね。それから数か月は何をしていてもパチンコのことを考える典型的なパチカスに。それからは色々あって、考え方を改め、今ではまったくパチンコ含めギャンブルをやらなくなりました。というか、自分がギャンブル大好きで抑制できないのを知っているから、父のように意図的に距離を置いている感じですね。僕も偉い。競馬とか競艇とかに赴き、友達と決まった額だけ使って、施設をフラフラしたりするのは楽しみ程度にしますが。ゲーセン程度の楽しみ方ですね。ちなみにUFOキャッチャーとかも手を付けるとコンコルド効果発揮しまくりで、額がエグいことになるので、距離を置いてます。もうこれは持って生まれた家系の呪いかもしれん。
とはいえ借金経験はないんですよね。あれほど優雅を極めていた実家が借金で崩壊し、末期にはいろいろと酷い惨状を幼いながら目に焼き付けてきたので、金を借りるということに非常に抵抗感があり、ゼロにはなれどマイナスにはしないのが信条。最近は割とミニマリズム的思考になっており、数年で買い散らかしたものを積極的に売り払ったり、そもそも物を増やすことに興味がなくなりつつあるので、人生24にしてついにそこそこの貯蓄が出来始めたり。
僕は変わらず無価値な人間だが、あのクズ家系の血には抗っていきたい。
パチカス時代の僅かな思い出は、ほとんどお金がなくて同人誌も刷れないほど困窮していた時期に、CRアナザーで大勝ちして、コミティアの参加費と印刷費用を稼いだことです。
アナザー、演出によっては、素晴らしい本編を大無視して、よくわからないモブとかが真犯人として扱われたままエンディングを迎えるのが面白すぎる。
お互いにギャンブルはほどほどにしましょう。
#52
人の生き死にをネタにして自分語りするのは品がないと思っていて普段避けているのですが、自分が24になっているということで思い出したことがありました。いつだったか同人小説の原稿を喫茶店で書いていたら、隣に同い年くらいの女性が座ったんですよね。でも、喫茶店内は僕しかいなくてガラ空きで、わざわざ窓際のカウンター席で隣に詰めてくるのは何なんだと訝しんでいましたが、割と原稿が忙しかったのでスルーしてました。そうしたら、ずーっとその女性が注文もせずに僕を見つめてくるんですよ。怖いったらありゃしない。そんで、キリのいいところで顔を上げて、何か御用ですか? って聞いてみたんですが、そうしたら開口一番に「すいません、この後忙しいですか?」って聞いてくるんですよ。どう考えても常軌を逸しているのですが、「それはどういう意味ですか?」と質問で返したんですがあんまり要領を得ない回答が続きました。とにかく、表向きはどうやら彼女が隣町のレストランに予約をしているということ。一緒に行くはずの友人が来れなくなったこと。同行してくれる人を探していることが分かったのですが、わざわざ人の少ない喫茶店に入って見ず知らずの人間に声をかける意味が分からない。真っ先に思いついたのは宗教の勧誘で、次がマルチだったんですけれど、どっちも興味があったのでOKをしました。この頃、とにかく安全性は二の次で自分の身を非常事態に突っ込もうと躍起になっていた時期でして、某宗教法人の自給自足している閉鎖的な村に数日宿泊したり、某日雇い労働者の街のドヤで暮らしたり、そういうことを考えなしに実践していたので、何が起こっても面白いかもしれないという安直な考えでほいほいついて行ってしまったんですよね。それで隣町の薄暗いシーシャバーみたいなところに就いたんですが、結果から言うと、彼女は宗教ともマルチとも関係なく、何か勧誘目的で話しかけたわけではなかったんですよ。ただ僕が弟に似ていたので、どうしても会話したくなったと告げられました。その時点では僕はさっぱり訳が分からなかったんですが、どうやら同い年に見えた彼女は実のところ30近いこと、そして彼女の弟は2年前に飛び降り自殺して亡くなっているとのことを聞きました。兄弟仲がすこぶる良かったのに、相談せずに命を絶った弟にいまだに未練があるらしいのです。さらに話を聞いていくと、その弟はどうやら暗い映画が好きでいつも「ドッグヴィル」を繰り返し観ていたこと、神聖かまってちゃんが好きで鬱が酷くなるとベッドの上で動かずにずっとリピートしていたことを教えてくれました。微妙に趣向まで僕に似ていて笑う。それで、その弟さんが亡くなったのがちょうど24らしいんですよね。結局、その女の人とは連絡先を交換して別れて、その後何回か会って、顔を合わせるたびに病的なほど一方的に喋り倒されてたんですが、流石に僕も疲れてきて、面倒臭くなって連絡先をブロックしてもうしばらくが経ちます。ただ、24という年齢になった今、あの女の人に見せてもらった弟さんの遺書の、「みんな、ごめんね。好きでした」という短いながら、ひどく震えていた文字が時折頭をよぎります。そういえば今年の頭に神聖かまってちゃんのライブに初めて行ってみたんですが、そこでの子さんが「ここに来てくれた奴、ここまで曲を聴いてきてくれた奴には感謝してる。でもその一方で、ここに至るまでに、何人かのファンはきっと死んでしまっただろう。きっとそんな奴がいる。俺も何人か知ってる」というMCをしていたんですよね。僕の知人でも、神聖かまってちゃんを聴いていた人で亡くなってしまった方は何人かいる。そして、顔すら知らない、僕に似ているらしい彼も。24で高層マンションに上って、中途半端な階で飛び降りた君。僕は今、やっとその年齢になった。僕もいつか死ぬ。必ず死ぬ。でも、今ではない。まだ生きる。いくつかの約束もある。だから、僕と君はやっぱり他人だよ。
#51
どこかで元気でやっていることを、いつだって願っています。
僕も、強く生きるさ。Howdy!
#50
「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」を通しで再読していたら、休日が終わっていた。
僕はこの物語のラスト近辺のシークエンスがたまらなく好きだ。(自分にとっての)世界最後の日、主人公は女の家でトマトソースを作り、ビールを飲み、波止場で車を止めて、ボブディランを聴きながら、ただ目をつむる。自身が失われることに様々な考えを寄せるが、みっともなく泣き叫んだり、抵抗すべくあがこうとはしない。
涙を流すには私はもう年をとりすぎていたし、あまりに多くのことを経験しすぎていた。世界には涙を流すことのできない哀しみというものが存在するのだ。
それに呼応するように、彼の中のもう一つの世界では、その物語の主人公が愛を選び、外部への逃避をあきらめ、森でひっそりと厳しい生活を送ることを選択する。
その最期の言葉は「ありがとう」だ。
そういえば、「腐り姫」というゲームでも、主人公とヒロインが二人で霧と消えていく中で、最期の言葉は「ありがとう」だった。
僕も願うなら、その最期に「ありがとう」と伝えて、消えていきたい。